研究課題/領域番号 |
18300160
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
塙 隆夫 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (90142736)
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研究分担者 |
野村 直之 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 准教授 (90332519)
土居 壽 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (30251549)
堤 祐介 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (60447498)
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キーワード | チタン / ジルコニウム / 骨形成 / リン酸カルシウム / カソード分極 / 表面分析 |
研究概要 |
Tiは体液中でリン酸カルシウムを、Zrはリン酸ジルコニウムをそれぞれ表面に生成することが知られているが、これらの機構については解明されていない。前年度までの研究で、Ti上のリン酸カルシウム形成およびZr上のリン酸カルシウム非形成の機構を明らかにした。 そこで本年度は、リン酸カルシウムを生成しないZrに、カソードアルカリ処理を施すことによりリン酸カルシウムを形成する技術の開発を試みた。純Ti(JIS2種)および純Zr(99.6%)を鏡面研磨し、洗浄したものを試料とした。0.9mass% NaCl水溶液、0.5M Na_2SO_4水溶液および0.5M Na_2SO_4+0.34mass% H_2O_2の混合溶液を電解液とし、-3VSCEの定電位で1hカソード分極を行なった。試料が体内に埋入された際のリン酸カルシウム形成を模擬するため、Hanks溶液に37℃で試料を7d浸漬した。試料表面の観察にはSEMを用いた。また析出物の元素分析にはEDSを、また試料最表面の原子の結合状態等、詳細な表面分析にXPSを用いた。0.5M Na_2SO_4+0.34mass% H_2O_2の混合溶液中でカソード分極後のZrでは、試料表面には凹凸がみられ、処理によって表面粗さが増加した。このような凹凸は、Tiや他の溶液でも同様にみられた。Hanks溶液中に7d浸漬した試料では、凹凸とは別に白色で示される粒子の析出が観察された。この部分でのEDS測定ではCa、P、Oのピークが検出されたため、この粒子がリン酸カルシウムであることが示された。したがって、この処理によりジルコニウムにリン酸カルシウム形成能を付与することができた。
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