近年、ステンレス鋼に代わって、その生体適合性や安全性の点から、チタン(Ti)合金(Ti-6Al-4V合金、Ti-6Al-7Nb合金)の骨折固定材としての使用が増加している。しかし、Ti合金を随内釘やスクリュウとして骨髄のような骨形成因子の存在する環境に埋入すると、骨折治癒後に除去する際に骨と癒合して仮骨を形成し、安全に摘出できないことが頻繁に発生する。これを防止するためには、骨形成環境でもTi合金表面で仮骨が形成しない表面の設計が必要である。 本研究では、これまでの研究で明らかになっているTiおよびTi合金の生体環境での表面組成の再構成に関する基礎的研究を基に、チタン合金表面の仮骨形成を抑制するための表面処理法を開発する。すなわち、これまでのTiに対する表面処理は、骨形成促進が目的であったが、本研究はその逆の骨形成抑制を目指した表面処理法を開発し、その機構を明らかにするものである。
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