研究課題
マウスの神経芽細胞腫あるいは脳腫瘍に由来する5種類、ヒトグリオーマ(脳腫瘍)に由来する10種類、ヒト乳がんに由来する9種類を用いて、これらの細胞から腫瘍マーカーを抽出するためにtotal RNAからcDNAを合成して、細胞表面マーカーDNAマイクロアレイに対するハイブリダイゼーションを行い、遺伝子発現プロフィールの作製を試みた。マイクロアレイから得られた遺伝子発現プロフィールに対して球面自己組織化マップによりクラスタリング解析を行った結果、正常組織のコントロール(マウス正常脳、ヒト胎児および成人正常脳、ヒト成人女性正常乳房)と比較して、それぞれの腫瘍種に共通なマーカーを絞り込む事ができた。これらの結果は定量的PCRや免疫化学的に検証を行っているところであるが、現状ではマイクロアレイの結果を支持できる傾向を示しており、細胞表面マーカーDNAマイクロアレイの有用性と球面自己組織化マップによるクラスタリング解析の妥当性を示す事ができたと考えている。一方で、乳がんなどの既知のマーカーであるErbB2に対する分子標的を行うデザインとしてErbB2に親和性を持つ12アミノ酸のペプチドをバイオナノ粒子の表面に提示して、再標的化の検討を行った。このペプチドは単独では細胞内に取り込まれないが、抗体を提示できるようにデザインされたバイオナノ粒子の表面に抗体定常領域に融合したErbB2親和性ペプチドを提示すると細胞内へ移行する事が観察された。これによりバイオナノ粒子は細胞表面マーカーに対する抗体分子以外のリガンドを提示して分子標的を行うことが可能な有効な担体である事を示すことができた。さらにこれを発展させて、マイクロアレイで特定されたマーカー分子を利用した分子標的への応用を展開していく事が可能になったと考えられる。
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