研究課題/領域番号 |
18300168
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
三輪 全三 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 講師 (30157705)
|
研究分担者 |
井川 資英 東北大学, 医歯学総合病院, 助教 (80176065)
松浦 祐司 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (10241530)
高木 裕三 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (30124697)
|
キーワード | 透過型光電脈波法 / 発光ダイオード / 歯髄血流測定 / 非侵襲的診断装置 / 酸素飽和度 / 歯髄診断器 / ヘマトクリット |
研究概要 |
研究期間(平成18年度〜平成20年度)を通しての目的は、現在歯科臨床で使用されている電気刺激法やレーザードプラー法とは異なり、発光ダイオード(LED)とフォトダイオード(PD)を使用した透過型光電脈波法(Transmitted-Light Plethysmography;TLP)により、非侵襲的・客観的に歯髄の血流量、Hb濃度さらに酸素飽和度(SO2)を測定でき、これにより歯髄の生死だけでなく病態まで診断できるような全く新しい歯髄診断装置(硬組織内血流測定装置)の開発を試み臨床応用することである。平成19年度の実績として、抜去した上顎中切歯の歯髄腔内血液量に関連した光伝搬を定量的に調べるために象牙質-歯髄-象牙質からなる歯の3層モデル(Kbelkaの3層モデルの変法)を考案しシミュレートした。これによる抜去歯の歯髄腔内ヘマトクリットの予測値は10%以下の低領域では、実測値と概ね一致した。ヘマトクリット値に対し522nmが810nmよりも高い精度を示した。また、東北大学工学部の協力により抜去歯を用いたモデル実験で、レジンキャップの赤色が500〜600nm付近のLED光の透過光強度を減少させるが、歯髄腔内のHb溶液濃度変化の検出能力は低下しないことが検証された。抜去歯および生活歯の透過・散乱光スペクトルの測定から、歯髄腔の大きさや形状が検出能力に影響を与えることが分かった。さらに、歯肉などのHbの影響の有無を検証するために歯周組織モデルを考案し、歯牙の透過スペクトルに影響はないことがわかった。以上のことからTLPにより得られた歯髄脈波振幅が心拍に同期する血液量変化を示すのに対し、等吸収波長522nmを使用したヘマトクリットの絶対計測では、歯髄の充血や虚血などの病態を診断できる可能性かおり、さらに非等吸収波長467nmを用いれば歯髄血液の酸素を測定できる可能性のあることが示唆された。
|