研究概要 |
治療遺伝子を用いて変性椎間板を再生させることで椎間板性腰痛を治療することを目的とした研究を行ってきた。昨年度に引き続きcDNA配列から標的とする遺伝子発現を抑制するためのsiRNAをデザインし、このsiRNAをコードするplasmidを作成、ラット尾椎の椎間板内に超音波コントラスト法により遺伝子導入した。siRNAによる特定遺伝子の発現抑制効果は24週間という長期間に認められた。この成果は、Eur Spine J(online14Jan,2009)に報告し掲載された。この手法により椎間板変性に関係している内在性のFas-Lをブロックすることに成功し、椎間板変性の進行を抑制させることができる可能性が示唆された。 続いて、椎間板の圧迫による変性モデルを作成し、X-P,MRIによりモデルの妥当性を証明した。さらに1型コラーゲンの上昇やアグリカン、2型コラーゲンの低下も確認した。次に,本モデルでの圧迫群では、椎間板での蛋白及びmRNAレベルでのMMP-3の経時的な進行性の発現上昇が確認されるとともに他のMMP群及びADAMST群でも発現上昇が確認され、同化遺伝子群に比べ異化遺伝子群が上昇する不均衡が経時的に増大することが判明した。以上のことから異化遺伝子の発現上昇が椎間板変性の問題であることが明らかになり、この成果は昨年度の学会において発表した。このモデルにより作成された変性椎間板内に、変性を促進させる異化遺伝子をコードするsiRNAを導入し、変性の抑制と再生に対する効果について研究を継続している。
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