研究課題/領域番号 |
18300172
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
山崎 文靖 高知大学, 医学部附属病院, 助手 (10243841)
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研究分担者 |
佐藤 隆幸 高知大学, 医学部, 教授 (90205930)
柿沼 由彦 高知大学, 医学部, 助教授 (60265866)
有川 幹彦 高知大学, 医学部, 助手 (20432817)
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キーワード | 先端機能デバイス / 医療工学 / 起立性低血圧 / 圧受容器反射 / 低侵襲治療システム |
研究概要 |
中高年を好発年齢とする進行性の神経変性疾患では、生命維持に極めて重要な血管運動中枢が侵され、動脈圧受容器を介した交感神経系による血圧調節機能が廃絶するため、重度の起立性低血圧や失神発作をおこし、末期には、寝たきり状態となり生活の質が著しく障害されが、重症例における治療法はない。そこで本研究では、二年間の実験的臨床研究により、非侵襲的な血圧制御システムを開発する。平成18年度には以下を達成した。 1.対象患者の動脈圧反射の開ループ伝達関数Hnative (f)の推定 対象患者をコンピュータによって傾斜角が制御されるベッドに寝かせ、傾斜角を不規則に変化させながら、動脈圧の変動SAP1(f)を記録する。患者では動脈圧反射が開ループとなっているため、動脈圧に加わる外乱をPd (f)とすると、SAP1(f)=Pd (f)となる。Pd (f)は直接的には観測不能である。そこで、健常者に同じ外乱を加えながら動脈圧を記録し、開ループ状態での動脈圧変動SAP2(f)を記録すると、SAP2(f)=SAP2(f)・Hnative (f)+Pd (f)となる。この状態で観測された動脈圧変動SAP2(f)は、Pd (f)によるものとみなすことができるため、Hnative (f)=1-SAP2(f)/SAP1(f)にしたがい、Hnative (f)を推定することができる。ここでは、患者が正常な動脈圧反射を有する場合の血圧変動を記録するのはできないので、健常者の動脈圧の平均値で代用した。自律神経失調患者4例(シャイ・ドレーガー症候群2例、パーキンソン病1例、急性特発性汎自律神経失調症慢性期1例)と健常成人男性15例より求めた開ループ伝達関数Hnative (f)はlow-pass特性を示し、0.01Hz以上でゲインが徐々に減少した。定常ゲインは5.3であった。 2.腹部圧迫帯の加圧から動脈圧応答までの伝達関数HSTM-SAP (f)の推定 対象患者に腹部圧迫帯を装着し、圧迫帯内の空気圧を不規則に変動させることにより、圧迫帯内圧から動脈圧までの伝達関数HSTM-SAP (f)を推定した。自律神経失調患者10例での平均ステップ応答関数では、圧迫帯内圧の上昇に動脈圧は迅速に反応し、10秒以内に定常状態の90%に達した。定常ゲインは0.7±0.3mmHg/mmHgであった。
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