研究課題
本研究では、ヒトを含む動物臓器内部の血流、特に子宮内胎児手術の代表的な症例である、双胎間輸血症候群(TTTS)の胎盤吻合血管レーザ凝固術において、吻合血管の血流を可視化する特殊内視鏡に関する装置開発を目的とした。生体組織中において近赤外波長領域(800〜900nm)に蛍光を発するインドシアニングリーン(ICG)を光造影剤として用いるICG蛍光画像化手法を利用することで、近赤外光に対して吸光度が低い血中ヘモグロビンを可視化するICG蛍光硬性鏡の開発を行った。内視鏡として直径5mmの硬性鏡をベースとして試作を行った。光源は前年度より高出力のキセノン白色光源を使用した。内視鏡直径が小さくなると、前年度までの撮像用CCDカメラでは明るさが不十分になるため、高感度EM-CCDカメラの適用可能性について試作機を用いて検討を行った。また、特殊内視鏡のレンズ系とカメラ部分の焦点調整のために新たに特殊アダプターを使用した。蛍光ファントムを用い、可視光モード時と蛍光モード時で、特殊アダプターにより両者の焦点が合うことを確認した。また、妊娠カニクイザルから娩出した胎盤を用い、混濁した羊水に浸した状態で画像の評価を行なった。なお、この胎盤は医薬基盤研究所霊長類医科学研究センターの規定に従って採取され、供与されたものである。蛍光モードにて、胎盤表面の血管が、EM-CCDカメラ試作機を用いると従来のCCDに比べ明瞭に観察することができ、本研究の目的達成のためにはEM-CCDを用いた特殊内視鏡システムが非常に有効であることを確認した。成果発表としては、国内学会で1件(平成19年10月)、国際学会で2件(平成19年5月、11月)発表を行なった。また、現在、海外論文誌への投稿を1件準備中である。
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