研究課題/領域番号 |
18300186
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
道免 和久 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (50207685)
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研究分担者 |
古荘 純次 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70107134)
児玉 典彦 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (40278833)
古河 慶子 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (10412016)
島田 真一 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (60441317)
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キーワード | リハビリテーション / 上肢 / CI療法 / ロボット / 脳卒中 |
研究概要 |
脳卒中患者の多くに上肢麻痺が伴うが、上肢のリハビリに関する研究は殆どなく、従来は健側上肢による代償で済まされることが多かった。本研究代表者らは健側上肢を拘束して麻痺側上肢で段階的訓練課題を実施するCI療法に、上肢リハビリ訓練ロボット技術を併用した、新たなリハビリ療法「ハイブリッドCI療法」を開発すべく、脳の可塑性を効果的に誘導できる訓練課題の開発と、この療法を実現するためのコンパクトで簡易なリハビリロボットの開発を目指した。 初年度の昨年度は、従来は手指が中心であったCI療法の訓練課題を肩肘にも拡げ、肩肘の訓練に有効な段階的訓練課題を抽出し、共同研究先である大阪大学でロボット動作としてそれを再現するためのロボット機構を開発し、臨床研究用リハビリロボットを製作した。また合わせて訓練基礎ソフトも制作した。 本年度には、健常者による試験的評価に基づくロボットと訓練基礎ソフトの改良を行い、次にボランティア患者による試験的臨床評価を実施し、その結果を基に更なる訓練ソフトの充実を図った。また、ロボットやソフトの機能向上において問題となった制御OSに関しても検討を開始した。具体的には、ロボットのアーム部のグリップをより握り易い構造に改良すると共に、力の計測のみならず、力の方向を検出しながら仮想現実感の力を細かに制御してよりリアルなゲーム感覚の訓練ができるよう、グリップ部に6軸力覚センサを取り付けた。また、昨年度制作した基本訓練ソフトの画像表示法を改良すると共に,巧緻性や協調性を訓練するための新たな訓練ソフト(サイン波、三角波、矩形波など所定の誘導路上に沿って動く目標球を追う訓練、誘導路の幅、位置、角度、移動時の抵抗等は任意に設定できる)やモグラ叩きやストラックアウト等のゲームソフトも制作して訓練の充実を図った。またこれまで画像の制御に特殊なOS(ART Linux)を使用していため使用できるパソコンが旧版のものに限定され、処理速度や容量に問題を来していたため、OS変更を検討し始めた。ボランティア患者による本格的な臨床評価は来年度の予定であるが、今年度はどの予備的検討として、同意を得た52歳男性(左片麻痺)と65歳女性(左片麻痺)の2名の患者で評価を始めた。結果、2名ともにBrunnstrom stage、Fugl-Meyer Assessmentなどの評価により上肢機能の向上を認めた他、Motor Activity Logを用いた実生活での使用頻度の若干の改善を認めるなどの知見を得た。また、操作に関しても患者単独で安全に実施できた。
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