研究課題/領域番号 |
18300188
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研究機関 | 国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所 |
研究代表者 |
赤居 正美 国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所, 運動機能系障害研究部, 部長 (80143452)
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研究分担者 |
中澤 公孝 国立身体障害者リハビリテーションセンター(研究所), 運動機能系障害研究部, 室長 (90360677)
江藤 文夫 国立身体障害者リハビリテーションセンター(研究所), 更生訓練所, 所長 (00101121)
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キーワード | リハビリテーション / 脳卒中 / 脊髄損傷 / 動力型歩行補助装置 / 装具歩行トレーニング |
研究概要 |
本研究では脳卒中患者および脊髄損傷を対象として、一定期間の免荷式歩行トレーニングを行わせ、訓練前後に実施する諸検査の結果から、訓練効果とその発現機序を定量的に検討することを目的とする。本研究の対象者は脳卒中片麻痺患者であるが、先行して研究を始めた脊髄損傷者に対しても同様の研究を行うことで、両者の訓練効果、その神経機序の相違を検討する。これらの研究成果は、脳卒中患者の移動能力の維持・向上を図るより効果的な新たな神経リハビリテーション(neurorehabilitation)方法を立案する上で、極めて有用な情報と提供し得るものと考えられる。免荷式歩行トレーニングの効果についてより信頼性の高い根拠が得られ、神経リハビリ訓練の効果的な手法として、臨床に広く普及させるための足がかりとなる。 【本年度の研究成果】 本研究では対象となる患者の神経生理学的性状や歩行の運動学的特性に注目し、歩行トレーニング介入の前後比較により、その差異を検出しようとするものであるが、評価手法としては、高位中枢と麻痺領域の神経伝達や中枢神経回路の機能改善の定量のために健常被験者も入れてデータ収集を行った。電気生理学的手技による皮質脊髄路の興奮性評価(経頭蓋磁気刺激・運動誘発電位による評価)の結果からは、上下肢間のneural circuitや上位中枢における意識集中(alertness)が得られる結果に大きく影響することが判明した。こうした要素の関連から、従来の歩行中の麻痺筋活動計測、筋酸素動態、運動強度評価(定常状態酸素摂取量・心拍数、運動後血中乳酸濃度)などは不十分であることが判った。先行する実験とも照らし合わせると、脊髄損傷者では前脛骨筋の運動誘発電位を一つの手がかりとして訓練効果を見ていくと、少なくとも不全麻痺患者における歩行能力向上に関連があると考えられる。(793字)
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