研究課題/領域番号 |
18300189
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
リハビリテーション科学・福祉工学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小倉 隆英 東北大学, 医学部, 助教 (10312688)
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研究分担者 |
半田 康延 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00111790)
関 和則 東北大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (20206618)
村上 節 東北大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (20240666)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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キーワード | 電気刺激 / 子宮機能不全 / 形態解析 / 動態解析 / 血流解析 / Cine mode MRI / 超音波ドップラ / visual analog scale |
研究概要 |
本研究の目的は、原発性月経困難症や不妊症の治療を非侵襲的で副作用のほとんどない仙骨部表面電気刺激(ssES)で行うという全体構想の中、MRIを用いてssESによる子宮内部構造の形態と動態の変化を捉え、子宮機能不全について非観血的な画像医学的手法により解析することである。 機能性月経困難症の患者を対象に、ssESによる子宮の「形態」「動態」「血流」変化をMRIおよびCine mode MRI・超音波により調べた。また、VAS(visual analog scale)を用いssESの月経困難症に対する臨床効果を検討した。 結果、全月経周期において、ssESに子宮平滑筋および子宮近傍組織の緊張を緩める効果があることを確認した。Cine mode MRIでは、junctional zoneに始まり子宮体部筋層に広がっていく、子宮平滑筋の律動的収縮が詳細に観察された。ssES後には、この子宮平滑筋の律動的収縮の周期が長く、かつ収縮の強さが弱まり、それに応じて子宮内膜すなわち子宮内腔直径が拡大することが確認された。MRIによる画像所見は血流による磁化率効果の変化を強く反映したものと考えられ、ssESが子宮平滑筋の循環動態にも影響を与えている可能性が示唆された。 臨床効果については、一回15分の刺激で、下腹部痛・腰痛・食欲・疲労感について25〜45%のスコア減少が認められた。また、2日に一回、一回15分のssESを5ヶ月継続したところ、下腹部痛・腰痛のスコアは刺激ごとに漸減し、5ヶ月後には75%の疼痛改善効果が得られた。これは鎮痛剤による疼痛軽減とほぼ同程度の改善効果で、薬剤投与量を減らし電気刺激を併用するなど、より侵襲の少ない月経困難症治療法を提案できる可能性があるという点で意義がある。 ssESが子宮に対し何らかの作用を及ぼすことは確実であり、ssESが月経困難症や不妊症のような、子宮機能不全の治療に応用できる可能性がより強く示唆され重要である。
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