研究分担者 |
伊福部 達 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (70002102)
中野 泰志 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (60207850)
福島 智 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教授 (50285079)
巖淵 守 広島大学, 大学院教育学研究科, 助教授 (80335710)
苅田 知則 愛媛大学, 教育学部, 講師 (40363189)
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研究概要 |
本研究では,ユーザと開発者・支援者を適切に結びつけるユーザ本位のコーディネータ養成カリキュラムを構築することを目的とし,当初の計画に基づき,以下の研究を実施した。 (1)ユーザ本位の支援技術や技術開発に関する理念の確立: 支援技術や技術開発におけるユーザ本位の視点がどのようなメリットを提供するかについて,文献研究および当事者へのインタビューを通じて検討した。その結果,専門性・客観性の無い障害当事者の開発参加では1利用者の意見に左右され,偏った製品が生まれる可能性,認知症や重度知的障害の人のようにニーズを顕在化出来ない人は当事者として意見を主張しにくく,第3者が観察等で代弁する事の重要性が明らかになった。よって,本研究プロジェクトにおける当事者理念の枠組みは,障害者本人,開発者,それを研究する研究者など,その技術開発に関心を持つすべての人々が当事者であることした。そして,当事者であるためには科学的根拠を基盤とした知見を有する必要があると考えた。 (2)コーディネータに必要な要件の整理とカリキュラムの構成・実施方法の検討: 製品開発の現場に対するフィールド調査,現状のコーディネータ活用の有無とその役割の分析を実施することにより,障害の多様性に対する理解,支援技術機器のスペックに対する理解をカリキュラムのキーポイントとして抽出し,障害ごとに教材をまとめることとした。実施方法としては,通常の講義形式だけでなく,ピアによる研修とロールプレイによる研修を取り込むことによって,「ユーザ本意」のカリキュラムを作成することとした。また,病院に入院する筋ジストロフィ者に,「障害の基礎」,「支援技術の基礎」の講義を仮教材をベースに試行した。その結果,受講者のリテラシーの大きな差,社会経験の無さに起因するコミュニケーションの難しさなどが明らかになり,幅広く受講者を対象とする上での問題も明らかになった。
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