研究課題
平成21年度研究においては、晴眼者の音源定位スキル向上に関する検討を行った。また音源定位時の確信度を測るために、脳波、心拍などの生理学的指標も併せて検討を行った。人が一つの音源に定位する際には、頭部や身体を静止させて聞き入る体勢を取ることが観察され、視覚障害者が道路横断時に音響誘導装置を利用する際にもそれは例外ではなかった。近年、我々が開発したナビゲーション音響信号機が全国に普及しつつあるが、これは前方の音源に定位して進行方向を定めるものであり、音源定位の正確さが要求される。しかし、静止して音源からの信号を聞くという事は定位精度の観点から有利な方法ではないと推測される。そこで、音源を断続的に吹鳴させる際に、頭部を固定して聴取する、頭部を回転させて聴取する条件での比較を行い、聴取法の影響を計測することを試みた。その結果、音源定位時に頭部を回転させて異なる位置での聴取を複数回行う事によって音源定位精度は有意に向上した。また静止して定位する際に頻繁に発生する前後方向の誤りはほぼ皆無になった。この際の音源定位の確信度と生理的指標(脳波)には関連があると認められた。また、自由な身体移動(回転)を許容する条件で、断続音と連続音を用いる実験を行ったところ、断続音がより高い定位精度で低位できることが明らかになった。今回の晴眼者の知見から、今後の視覚障害者による音響誘導装置の利用法及び信号音作制に関する改善の手掛かりが得られたと言える。
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Proceedings of 13th International Mobility Conference, IMC13
ページ: 1-8
http://tanfu.fhw.oka-pu.ac.jp/index.htm