研究概要 |
簡易エネルギー消費量推定法を作成する手段として歩数計を選んだ。しかしながら,歩数計は成人の身体の動きを想定して作成されているため,児童にそのまま歩数計を装着させるのは妥当ではない可能性もある。すなわち,歩数計の精度は体格や歩行速度の影響をうけるため,児童の発達段階によっては妥当性が得られないかもしれない。歩数計の精度に関する報告は多いものの,それらの研究はすべて成人以上を対象としている。そこで本研究では,まず,児童を対象として歩数計を用いることの妥当性を明らかにすることを目的とした研究を行った。振り子式・加速度計式の数機種の歩数計を用いた。札幌市内の小学校に通学する児童485名を被験者とした。長さ50m・幅1mのコースを小学校のグラウンドに作成し,被験者に常歩,緩歩,速歩の順で3回コースを歩行させた。被験者には各試行の開始時と終了時は両足をそろえ,合図があるまで動かないように指示した。試行前後での各歩数計の値と手動カウンターでの実測値を記録し,試行前後の歩数計の値の差を,歩数計での測定値とした。本研究の試行を指示通りに遂行でき,かつ身体測定のデータが得られた394名を分析の対象とした。その結果,児童の歩数を測定するには加速度計式歩数計が適しており,特に小学5・6年生の計測データは緩歩〜速歩まで,極めて少ない誤差(3%以内)であることが明らかとなった。 児童のエネルギー消費量を正確に把握するために,千葉県いすみ市の小学校において5年生36名(男子25名,女子11名)を対象に二重標識水法によるエネルギー消費量測定を実施した。なお,当初は北海道内の小学校で実施する予定であったが,先方の都合で実施が困難となり対象学校を変更した。そのため,測定実施日が11月となり,平成18年度中にエネルギー消費量の測定値を得られなかった。
|