研究課題/領域番号 |
18300200
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
川上 泰雄 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (60234027)
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研究分担者 |
福永 哲夫 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (40065222)
桜井 智野風 東京農業大学, 生物産業学部, 准教授 (30235220)
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キーワード | 収縮様式 / 筋腱動態 / 生体計測 / 筋腱相互作用 / 筋痛 / 筋損傷 |
研究概要 |
昨年度までの研究によって、伸張性・短縮性筋活動後に筋肉痛が生じ、それに伴い、筋厚・周径囲などの形状変化、ならびに筋力・筋放電量・超音波画像輝度などの筋機能・筋性状の変化が確認された。運動後に生じる筋損傷および筋肉痛の度合いは、実際の運動を行っている際の筋線維動態、とくに伸長性筋活動の度合いが関与していることが予想される。本年度は、運動後に生じる筋痛の程度や筋の機能変化が活動時の筋線維の長さや速度に依存する可能性を検証することを目的とした。筋痛の程度が長さ依存性である可能性を検証するために、健常成人の前脛骨筋を被験筋として、前脛骨筋の力-長さ関係の上行域と下行域で筋活動を行う2群に分けて伸張性随意最大足背屈動作を120回行った。その結果、等尺性最大足関節背屈トルクの低下率やピークトルク角度のシフト量に両群間で差が認められなかった。また、筋痛の程度が速度依存性である可能性を検証するために、健常成人の下腿三頭筋を被験筋として、2つの動作速度(0.5Hz、2.0Hz)で足関節底背屈動作を200回行った。このときの腓腹筋とヒラメ筋の筋束動態を、Bモード超音波装置を用いて撮像し、両筋の筋東長と羽状角を計測し、筋束と腱組織の動態を計測した。動作速度が遅いときには筋束が、速いときには腱組織が伸長・短縮することが確認されたが、運動直後から4日後までのビジュアルアナログスケールを用いた筋痛の程度、血液中の筋損傷マーカーの量、足関節可動域の低下率、等尺性最大足関節底屈トルクの低下率に、動作速度間の差が認められなかった。以上のことから、筋痛の程度や筋の機能変化は活動時の筋線維の長さや速度に依存しない可能性が示唆された。
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