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2008 年度 実績報告書

情動の他覚的評価に基づいた発達支援方法の提案

研究課題

研究課題/領域番号 18300202
研究機関福井大学

研究代表者

梅澤 章男  福井大学, 教育地域科学部, 教授 (70151925)

研究分担者 三嶋 博之  早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (90288051)
村野井 均  茨城大学, 教育学部, 教授 (10182130)
キーワード情動発達 / 生理反応 / 呼吸 / 心臓血管系 / 評価 / 感性情報 / 感情 / 映像
研究概要

本研究の目的は,情動発達の重要なステージにある幼児を対象として,生体・行動情報を用いた他覚的な情動評価方法を開発し,情動発達の評価と支援方法について検討することにある。最終年度は以下(1)から(3)を実施し,研究成果をとりまとめた。
(1) 自然な情動変化を引き起こすために,市販されている映画,アニメから,快情動を喚起するシーン(POSI)と不快情動を喚起するシーン(NEGA)を抽出し,POSI-NEGA-POSIの順序で配置した映像バッテリーを作成した。3〜5歳の幼児を対象として,開発バッテリーの視聴を実施した。その結果,3歳児ではNEGAに対する情動反応がPOSIの呈示に切り替わっても残存したが,5歳児はPOSIに対応した情動反応へと速やかな切り替わりが認められた。本研究で開発した映像バッテリーが情動発達研究で利用可能なことを示す結果である。
(2) 実験で得られた生体情報から快・不快を弁別するための分析方法を検討した。呼吸・心臓血管系指標のなかでNEGAとPOSIを弁別し得たのは,伝達関数法で算出した圧受容体反射感度(baroreflex sensitivity:BRS)のみであり,POSI視聴時のBRSはNEGA視聴時より有意に高い値を示した。POSI視聴時には心臓迷走神経系活動が高まることを示している。
(3) LifeShirtシステムを用いた母子同時視聴時の幼児の呼吸・心臓血管系データを計測した。その結果,胸郭と腹部の呼吸運動波形から求めた分時換気量は,情動喚起に伴い有意な増加を示すことを確認した。従って,情動が喚起されたか否かの弁別はサイクル毎に求めた分時換気量に促進的な変化が生じたか否かにより判定可能と考えられる。
以上の結果から,POSI-NEGA-POSIと配列した映像バッテリーは情動発達研究における有効なツールになることが期待される。一方,他覚的な情動評価方法,特にリアルタイムの評価方法については今後更なる検討が必要である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] ポリグラフ検査で出現する抑制性呼吸の発現機序2009

    • 著者名/発表者名
      黒原彰, 梅澤章男
    • 雑誌名

      生理心理学と精神生理学 27(印刷中)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 腹式・胸式呼吸様式が心臓迷走神経系活動に及ぼす効果2008

    • 著者名/発表者名
      寺井堅祐, 佐々木浩子, 梅澤章男
    • 雑誌名

      生理心理学と精神生理学 26

      ページ: 179

  • [学会発表] 情動に伴う心臓血管系反応パターンの分析2009

    • 著者名/発表者名
      寺井堅祐, 梅澤章男
    • 学会等名
      第27回日本生理心理学会大会
    • 発表場所
      同志社大学・心理学部
    • 年月日
      2009-05-17
  • [図書] ストレス科学事典2009

    • 著者名/発表者名
      梅澤章男(分担執筆)
    • 出版者
      財団法人パブリックヘルスリサーチセンター(印刷中)

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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