研究課題
本年度は昨年度の実験結果に基づき、男女サッカー選手各10名用いて180度のターン動作時の体幹、下肢の動作特性をPoint Cluster法で3次元解析を行った。また某大学男子サッカー部員90名の協力のもと、サッカー界での世界的なInjury Prevention ProgramであるFIFA-11およびさらにそのプログラムにジャンプ系トレーニングの強化を独自に加えたFIFA11+の有用性の検証を半年間にわたり行った。第1の実験では女子サッカー選手は男子に比較して、有意に体幹の前傾と、膝関節の屈曲角度が少なく、体幹はターン方向に向いていること、また脛骨の回旋角度が大きい事が判明した。これが女子選手にACL損傷頻度が高い一因になる可能性がある。また第2の実験ではコントロール軍医比較してFIFA-11、FIFAII+を実行したグループでは有意に足関節捻挫の頻度が減少した。また介入前後の体力測定では有意に直線でのランニングタイム、プロアジリティー時間(回転を含むランニング)の向上がみられ、本プログラムが単に外傷予防のみでなく、体力トレーニングプログラムとしても有用であることが証明された。上記の実験的研究と共に現場への還元として日本女子バスケットボール機構、日本女子サッカーリーグ、国立スポーツ科学センターとの協力の下、女子バスケットボール選手用、及び女子サッカー選手用のInjury Prevention Programを開発しDVDと選手用Hand outを作成した。なお本DVDは約15分程度のメニューで、個人の能力合わせプログラムが選択出来るように配慮されている。今回は本DVDを所属全チームに配布すると共に、介入結果の検討を行った。日本女子バスケットボール機構においては介入前の2006年度にACL損傷が13件発生したが2007年度は3件と大幅に減少した。