運動後にGLUT4の発現を増加させると考えられている転写補助因子であるPGC1αの発現量が18時間程度高く維持されていることが報告されている。そこで、本研究では運動後、どれほど、そのタンパク質の発現量高値が持続されるかどうかを明らかにするために、SD系ラットに低強度長時間水泳運動を行わせた後の24時間及び30時間後の前肢三頭筋のPGC-1α濃度を測定したところ、細胞全体及び核分画の両方で運動終了後24時間後まで同タンパク質量が、非運動群よりも高いが、30時間後には非運動群と差がなくなることが明らかとなった。この結果は、運動終了後GLUT4の発現が運動終了から24時間程度、長時間促進されていることを示唆している。 現在、運動によりGLUT4が増加することに関与するタンパク質の全容は明らかになっていない。そこで本研究では、運動後に発現量が増加する新規のタンパク質を明らかにすることを目的に、SD系ラット筋に高強度短時間間欠的水泳運動と低強度長時間水泳運動を行わせた後の核分画のサンプルに対してプロテオミクス法を用いた。その結果、この分画においては、クレアチンキナーゼのような既知のタンパク質しか、検知することは出来なかった。今後は、運動による新規のタンパク質の発現がより多くなり、検知能が高まると推測される系、即ち同様の運動の連続であるトレーニングを行った後の骨格筋タンパク質に対してプロテオミクス法を用いて、運動強度特異的に発現するタンパク質の検知を行う。
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