研究概要 |
本年度は,プログラムの有効性に関する評価研究の初年度に当たり,事前調査を実施した。対象は,広島県福山市の小学校4校と茨城県鉾田市の2校の5年生443人,新潟県岩船郡の中学校2校と同県胎内市の中学校2校の1年生335人であり,2007年4月から5月にかけて無記名の自記入式質問紙調査を実施した。主な質問項目は,セルフエスティーム,社会的スキル,ストレス対処スキル,意志決定スキル,目標設定スキル,喫煙,飲酒,薬物乱用に関する態度及び行動であった。その結果によれば,小学校5年に関しては,ストレス対処スキルを除けば,LS教育校(プログラム実施校)と対照校(非実施校)はほぼ等質な集団であった。一方中学校1年に関しては,LS教育校生徒のセルフエスティームや社会的スキルは対照校生徒よりも好ましい傾向にあるものの,その他の変数に関しては等質な集団であった。 事前調査実施後,LS教育校の児童生徒に対しては,1年間にわたって小学校5年生用のプログラムもしくは中学校1年生用のプログラムをそれぞれ実施した。 プログラムの有効性に関する評価は,プロセス評価と影響評価から構成される。プロセス評価として,授業毎に授業評価表を作成し,学習内容や学習活動の意義や児童生徒の参加意欲について,授業直後に評価するよう授業担当者に依頼した。影響評価として,全ての授業が終了した後,事前調査と同一の調査票を用いて事後調査を実施した。なお,対照校においてもほぼ同時期に事後調査を実施した。 現時点では事後調査の解析は終了していないが,各学校の担当者による中間報告では,授業の実施状況と児童に対して各校が独自に実施したアンケート結果が報告され,ライフスキル教育が児童生徒はもとより,授業参観や学校だよりを通じて保護者にもなじみ深いものとなり,自分の生き方を考える時間として定着してきたことが窺えた。
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