研究概要 |
青少年の喫煙, 飲酒, 薬物乱用は彼らの現在および将来の健康や発達に重大な影響を及ぼす。こうした行動は十代のうちに形成されるため, 行動変容に結び付く喫煙, 飲酒, 薬物乱用防止教育の実施が学校教育に求められている。 本研究の目的は, 内外の研究によって, 青少年の喫煙, 飲酒, 薬物乱用などの危険行動の形成と密接な関係があることが知られているライフスキルに焦点を当てたプログラムを開発し, その長期的効果を明らかにすることである。その目的を達成するために, 以下のような研究計画を立案した。 (1) 小学生を対象としたプログラム開発と評価研究 広島県福山市の小学校4校と茨城県鉾田市の小学校2校を対象校として, 各地域の半数の小学校をライフスキル教育プログラム実施校(以下LS 教育校), 残りの半数の小学校を対照校として設定する。そして, LS教育校の5年生に対して2年間にわたって小学校高学年用のプログラムを実施する。 プログラムの有効性に関する評価は, プロセス評価と影響評価から構成される。プロセス評価として, 授業毎に授業評価表を作成し, 学習内容や学習活動の意義および児童の授業への参加意欲などについて授業直後に評価するよう, 授業担当者に依頼する。影響評価としては, 5年のプログラム実施前に事前調査を実施し, 毎年度の全ての授業が終了した年度末に, 事前調査と同一の調査票を用いて事後調査を実施する。なお, 対照校においてもほぼ同時期に調査を実施する。主な質問項目は, セルフエスティ-ム, 社会的スキル, ストレス対処スキル, 意志決定スキル, 目標設定スキル, 喫煙, 飲酒, 薬物乱用に関する態度および行動とする。 (2) 中学生を対象としたプログラム開発と評価研究 新潟県村上市の中学校2校と同県胎内市の中学校2校を対象校として, 各地域の半数の中学校をLS 教育校, 残りの半数の中学校を対照校として設定する。そして, LS教育校の1年生に対して3年間にわたって中学生用のプログラムを実施する。プロセス評価と影響評価の実施計画は, 小学校の場合に準じる。
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