研究課題
平成18年度に引き続き、同意を得た沖縄県内新百歳者の健康実態調査を実施した。基本属性、認知症を含む既往歴などから構成された質問紙調査により、在宅・施設あわせて75名(在宅43名、施設32名)のデータを得た。要介護度は在宅、施設いずれの場合も要介護度5が最も多く、介護保険の利用が少ないことも昨年と同様の傾向であった。残歯数は0本が最も多く、しかし、咀嚼状況は「普通にかめる」と回答した者が41.0%にのぼった。機能的評価において、自立している割合の最も高かったのは「食事」であった。また、「整容」、「入浴」、「階段昇降」、「着替え」、「排便」、「排尿」においては自立度は低かった。主観的健康観は、在宅・施設いずれにおいても「非常に健康」、「まあ健康な方」と回答した者の合計が「あまり健康ではない」、「健康ではない」と回答した者の合計を上回っていた。また、高血圧、糖尿病、脳卒中、心疾患、悪性腫瘍の既往歴は無と回答した者が、有と回答した者より多かった。しかし、認知症は既往歴有が無を上回っていたのは昨年と同様であった。施設入所者は在宅の者と比較して比較して機能的評価における自立者の割合が低く状態の悪い者が施設入所者に多いことも昨年と同様であった。この中から3名(在宅2名、施設1名)を精査の候補者として選び出した(昨年度は5名)。体力医学的測定に対する家族等の同意を取ることはかなり難しいことが昨年より明らかになっており、認知症との関係においては、さらに別の指標との関連を考える必要があると推測された。現在は、糞便中の細菌の分析をすることにより、腸内環境と百寿者の健康に関する因果関係を百寿者の健康の評価のひとつとして加えたいと考えている。一方、本年度は百寿者を含む高齢者について、沖縄県のそれと比較の目的で中国吉林省(東北地方朝鮮族自治区)ならびに鹿児島県奄美大島を同様の調査が可能であるかの予備調査を行い、可能であるとの結論を得た。また、百歳者を含む高齢者の健康調査についての今までの知見について学会等で報告を行った。
すべて 2007
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日本未病システム学会雑誌 13(2)
ページ: 284-286