研究概要 |
平成18,19年度の健康実態調査より、2次調査の対象として、要介護度が比較的低く(要介護2以下)認知症の無い百歳以上の方を選出したが、体力医学的な試験の同意は得られなかったことから、これらの評価は質問紙中の機能的評価(ADL)とした。その他の2次調査の同意が得られた15名(在宅7名、施設入所者8名)について、生命予後に対する検討を行うため下記の解析を行った。 すなわち、沖縄県百歳者より糞便を供出いただき、その細菌フローラについて解析を行った。 その結果、沖縄県百歳者の腸内総菌数、バクテロイデス、およびビフィズス菌については田中ら ^<1)>とほぼ同様であった。悪玉菌と呼ばれているレシチナーゼ産生クロストリジウム属菌の菌数は、田中らに比べ低い傾向を示したが、沖縄県の健常成人よりも少し多い菌数であった。一方、カンジダについてはどの研究よりも少し高い菌数を示した。この成績は沖縄県百歳者の腸内に腐敗菌が少ないことを示唆するものである。また、腸内フローラの外来菌排除能の指標に用いられているコロナイゼーションレジスタンス(総菌数に占める大腸菌の比およびビフィズス菌と大腸菌の割合(比))について解析を行った。その結果、沖縄県百歳者はいずれもその値が低いことより、感染抵抗力が強いことが明らかとなった。このことから加齢に伴う感染抵抗力の低下を防止することにより、より健康で長寿となっていることが示唆された。 同時に調査した栄養調査によると、沖縄県百歳者はエネルギー、タンパク質、脂質、炭水化物、カルシウム、鉄、ビタミン(A,B群,C)ならびに食物繊維のすべての成分について必要摂取量または目安量を十分に満たしていた。 また、生命予後を評価する指標の一つとして、新しく開発された指標である「元気生活チェック」を用いた高齢者を含む沖縄県在住者の調査の発表を行った。 1):田中隆一郎ら:百寿の消化機能と腸内菌叢,Geriatric Medicine,38(9),1335-1342,2000
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