研究概要 |
本研究の目的は,生活習慣病罹患に影響を与える健康行動の中でも,特にわが国の職域において介入が困難とされてきた身体活動(運動・スポーツを含む日常の身体活動全般)について,勤労中高年者を対象に効果的な活動量増強を目指したプログラムを開発し,職種や企業風土に関連させながらそれらの効果を多様な観点から検証することであった. 平成20年度においては、コンピュータ環境が整った職域において,インターネットを用いた動画による健康教育の講習,対面講習会,身体活動量測定機器による測定と個人ページの設置,e-mail相談,および電子掲示板を使った介入プログラムを3カ月間実施し,その効果を検証した.インターネットを用いた動画による健康教育では,あらかじめ対象者の行動変容ステージ(前熟考,熟考,準備,実行,および維持ステージ)を評価した上で,初期ステージ(前熟考および熟考ステージ)と後期ステージ(準備,実行,および維持ステージ)に分け,それぞれのステージに適合した情報を提供した.これらの効果検証については,実際の身体活動量の変化およびステージの移動をアウトカム評価とし,一方,ライフコーダの利用,インターネット健康教育の視聴,個人ページへのアクセス数講習会への参加をプロセス評価とした.本研究終了時の質問調査の回収率は,開始時で77%,中間時で89%,そして終了時で76%と高率を上げ,身体活動量の改善および高次ステージの移動が見られた. 以上の結果より,コンピュータ環境の整った職域ではその特徴を生かした介入プログラムが効果的であることがわかった.
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