研究概要 |
本研究の目的は, 生活習慣病罹患に影響を与える健康行動の中でも, 特にわが国の職域において介入が困難とされてきた身体活動(運動・スポーツを含む日常の身体活動全般)について, 勤労中高年者を対象に効果的な活動量増強を目指したプログラムを開発し, 職種や企業風土に関連させながらそれらの効果を多様な観点から検証することであった. 本研究においては, 2つの職域において身体活動量増強を目的とした介入研究を異なるアプローチを用いて研究を行った. その一つは, ある電気機器会社の40歳以上の従業員を対象に, トランスセオレティカルモデルを基にして, 初期ステージと後期ステージに内容を分け, 週1回10分程度のe-learningによる個別行動変容教育を行って歩数の増強を目指した. その結果, ステージマッチド介入は行動変容の程度を高めたものの, 昼休みといえども, 会社内において仕事以外のコンピュータ利用を促進させるには異なるアプローチが必要なことがわかった. もう一つの研究では, 異なる電子機器メーカーの従業員を対象に, ソーシャルマーケティングを用いた募集を行い, 多くの参加者を確保した上で, 歩数計と健康づくり新聞による介入プログラムを実践した. この研究においても, トランスセオレティカルモデルを基にしたステージマッチド介入を行い, 加えて健康づくり新聞の記事として, 募集時に測定した健康不安内容を個々に合わせて配置した. 以上, 行動変容のモデルを用いて, 種類の異なるアプローチを行い, それらの効果を検証することができた.
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