研究課題
本年度は、メタボリックシンドローム(MS)の病態生理学的意義の解明を目的として、とくに喫煙と食後高脂血症に注目して検討を行った。(1)喫煙とMSとの関わり喫煙者においてMSの頻度が高いこと、たばこ煙には人体の酸化ストレスとなる物質が含まれていること等が指摘されている。喫煙若年女性(大学生)においては、体重、BMIは非喫煙者(対照)および受動喫煙者と比較して差はなかったが、HDL-コレステロール低値、トリグリセライド(TG)高値の傾向を示した。また、末梢血中の白血球数の増加を認め、体内における炎症を生じている可能性が考えられたが、高感度CRPには差を認めなかった。また、たばこ1本の喫煙によっては血中の活性酸素代謝産物および抗酸化能の変動は見られなかった。(2)食後高脂血症とMSとの関わりMSの判定基準には高TG血症の項目があり、空腹時採血で150 mg/dL以上の規準が採用されている。しかし、内臓脂肪蓄積状態では、空腹時においてはTG値が基準値内であっても、食後には高値を示すことがあり、この基準の不備が指摘されている。食後の高TG血症の判定を標準化する目的で、内容・量を基準化したOFTTクリームを経口負荷することによって、6時間後までの血中TGおよびその代謝産物の推移を検討した。その結果、若年女性に比べて中年の閉経前および閉経後の健常女性ではTG代謝の遅延が見られること、若年男性(大学生)の肥満者においては、健常者に比べて、TG代謝の遅延、すなわち、ピーク値の遅延、6時間後まで前値に回復しない等の差が観察された。即ち、健常若年女性に比べて、健常な中年女性においてもTG代謝の遅延が見られること、男性の若年肥満者においては、健常者に比べて既にTG代謝の遅延が見られることが明らかとなった。これらのことから、肥満と加齢は独立して、 MSの重要な危険因子となっている可能性が考えられる。
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Journal of Atherosclerosis and Thrombosis 14(in press)
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