女性看護職を対象とした大規模コホート研究である日本ナースヘルス研究において、ベースラインデータ(44480人)の論理チェックを行い、データの確定を行っている。また、追跡調査を実施し、その他に、ベースラインデータおよび追跡データを用いて、以下の検討を行った。 1)経口避妊薬、ホルモン補充療法などの女性ホルモン剤(HRT)の使用情報に関する妥当性および使用実態の検討:HRTの使用経験者は3.3%であり、高齢になるに従いその割合は高い傾向であった。HRT以外の女性ホルモン剤の使用経験が者は17.0%であり、高齢になるに従いその割合は低い傾向であった。避妊法としての経口避妊薬利用は、若年層で広がりつつあった。他の避妊法を選ぶ女性にくらべ、経口避妊薬は、未婚、やせ型、喫煙、夜勤経験なしといった特徴をもつ女性により多く利用されていた。HRTの使用経験があると回答した者の内、特定した薬剤の種類が低用量ピルと記載した者は極めて少なかった。低用量ピルは避妊目的以外でも利用されており、女性ホルモン剤の曝露は薬剤を特定して調査をすることが重要である。 2)現在の既往状況の横断的検討:平均ウエスト周囲長は68.3±7.4cmであり、BMIは22.0±3.0kg/m2であり、両者のSpearmanの相関係数は0.696であった。ウエスト周囲長が85cm未満の者は96.0%であり、85以上90cm未満2.0%、90cm以上1.9%であった。BMIが25未満の者は85.3%であり、25以上30未満12.7%、30以上1.9%であった。ウエスト周囲長とBMIの組合せ別にみた、血圧状況、総コレステロール値、HDLコレステロール値、空腹時血糖値の各測定値が基準を超える者の割合を検討した結果、本対象集団では、これらの検査値の異常出現状況において、BMI25以上がウエスト周囲長90cm以上より強く関連していた。
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