全国の女性看護職を対象とした大規模疫学調査である日本ナースヘルス研究(JNHS)では調査票による自己申告により、曝露情報および疾病の有病状況・罹患状況の調査を行っている。しかし、質の高い研究であるためには、これらの情報に関する正確な把握が前提となる。そのため、本研究では自己申告によ:る情報が正確であるかどうかを確認する妥当性検討を行っている。本年度は、疾病発生に関する一連の妥当性検討の中で、乳がんの罹患状況を検討するとともに、その妥当性に関する検討を実施した。 2001年10月〜2002年12月の第1次募集でフォローアップ調査への同意をした者で、ベースライン調査から2年後のフォローアップ調査に回答した6375人の内、2年の間に乳がんを罹患したと回答した30人を対象とした。2年後のフォローアップ調査で乳がんに罹患したと回答した30人の内、詳細調査に回答した者は26人(回収率:86.7%)であった。詳細調査に回答した26人中、乳がんに罹患したと回答した者は22人(2年後フォローアップ調査との一致率:84.6%)であった。この結果から推定した乳がん罹患率は1000人年対1.73であり、ベースライン調査における既往割合の5歳階級問の増分から推定した乳がん罹患率(0.56)より高かった。主治医への照会を行った(問い合わせを承諾した者:10人)結果、回答が得られたのは6人分であったが、これらの回答はすべて乳がん(浸潤がん)であった。 JNHSの第1次コホートにおける乳がん罹患に関する回答の信頼性は高いと考えられたが、第2次および第3次コホートについての検討も実施中である。
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