研究概要 |
衣料用繊維素材の再利用による空気と水に関する環境の浄化材料の設計を研究目的とする。セルロース繊維に、モノマー:メタクリル酸メチル(MMA)、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA:興人)、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAA:興人)をグラフト化した材料の製造を検討した。グラフト化はモノマー混合物(溶剤:MMA、MMA+DMAEAとMMA+DMAPAA)の溶液(メタノール-水を溶剤)に光増感剤(過酸化水素(0.3%溶液))を加えた溶液に繊維試料を漬けた状態で、紫外線を2時間照射して行った。反応後、反応混合物をメタノール中に投下し、固形物を濾別後、水またはクロロホルムで抽出してホモポリマーを除去した。生成物を乾燥後、重量増加から「みかけのグラフト率」を求めた。 吸着対象物質:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS:陰イオン界面活性剤)、セチルトリメチルアンモニウムプロミド(陽イオン界面活性剤)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(非イオン界面活性剤)、クロロホルム、各種アルコール。繊維試料をステンレス製の筒(カラム)または、ガラス製カラムに充填して、吸着対象物質を含む水溶液をカラムに流し込み、溶離した液を時間ごとに採取し、ガスクロマトグラフィー(GC)、または紫外線スペクトルで分析し、計算により、吸着量を求めた。 結果:水中含有のクロロホルム、各種アルコールは、各種繊維によって吸着除去することが可能であった。非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤とも、各種繊維に吸着した。陰イオン界面活性剤については、セルロース繊維と各種改質繊維について比較した。その結果、DMAEAおよびDMAPAAをグラフト化したセルロース繊維によって効果的に吸着除去可能であった。特に、DMAPAA-MMA両モノマーをグラフト化した材料(グラフト率54.1%)は未処理セルロースの1450倍の吸着量を示した。
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