研究概要 |
繊維素材の再利用による空気と水に関する環境の浄化材料の設計を研究目的とする。各種繊維およびセルロース繊維(木綿とレーヨン)に、モノマー:メタクリル酸メチル(MMA)、N, N-ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA:興人)、N, N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAA:興人)、アクリル酸を光照射グラフト化した材料の製造と吸着特性を検討した。また、アミノ酸NCAからポリペプチドを合成して、有機化合物蒸気の吸着を行い、高分子の分子構造と吸着の関係を考察した。 水中の吸着:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド(陽イオン界面活性剤:CTAB)、各種アルコールの各水溶液を、繊維試料を詰めたカラムに流し、溶離液をガスクロマトグラフィー(GC)、または紫外線スペクトルで分析して吸着量を求めた。アンモニアの吸着は、改質繊維をアンモニア水溶液に浸け、アンモニアの濃度変化を測定した。空気中の有機化合物の吸着:ポリグリシン、ポリ(L-アラニン)、ポリ(L-バリン)に対するアセトニトリル、メタノール、エタノール、p-キシレンの蒸気圧と吸着の関係を検討した。 結果:水中含有の各種アルコールは各種繊維によく吸着した。CTABは絹フィブロインに特によく吸着した。LASについては、DMAEAおよびDMAPAAをグラフト化したセルロース繊維によって効果的に吸着除去可能であった。特に、DMAPAA-MMA両モノマーをグラフト化した材料は効果的であった。水中のアンモニアはアクリル酸グラフトレーヨンでよく除去できた。ポリ(L-アラニン)に対する有機化合物の吸着量は極性の少ない順に多くなると見られた。空気中の吸着は水中の吸着と異なり、分子構造の影響が反映されるとみられた。吸着曲線に急激な折れ線が見られ、単分子層吸着から多層吸着への変化とみた。
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