研究概要 |
繊維素材の再利用による空気と水に関する環境の浄化材料の設計を研究目的とする。本年度は、これまでの検討から改質しやすいレーヨンを繊維素材とした。陰イオン吸着機能を付与するために、レーヨンに、モノーマー(メタクリル酸メチル(MMA)、N, N-ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)、N, N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAA))を紫外線照射でグラフト化させた。また、アクリルアミドをグラフト化してから、Hofmann転移させてアミド基をアミノ基に変えてから、塩酸塩として、陰イオン吸着機能をもつレーヨンを製造した。陽イオン吸着機能の付与を目指して、アクリル酸を効果的に光照射グラフト化する条件を検討した。1. 水中での吸着 : (1) DMAPAAをグラフト化したレーヨン(グラフト : 15.4, 33.3, 41.0.54.4%)について、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)の吸着実験を行った。吸着量は2.03-3.71g/g-繊維となり、高い吸着機能性材料が製造された。(2) MMAとDMAPAAの混合モノマーのグラフト化によって、効果的な吸着性能をもつ材料が作られた。(3) アクリル酸グラフト化レーヨン(グラフト率 : 56.7%、93.4%)による水中のアンモニウムイオンの吸着を検討した結果、61.0、92.5mg/g-繊維の吸着量が得られた。(4) アクリルアミドーHofmann処理レーヨンは水中のアンモニウムイオンを61.0、92.5mg/g-繊維の量で吸着除去できた。2. 空気中のアンモニアの吸着 : アクリル酸グラフト化レーヨン(グラフト率65.3%)をアンモニア気体を充満させたデシケータ内に置いて、アンモニアを吸着させた結果、132mg/g-繊維吸着量が得られた。未処理レーヨンへの吸着量は0mg/g-繊維であった。気体の吸着について継続的に検討している。
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