研究課題/領域番号 |
18300241
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生活科学一般
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
大谷 毅 信州大学, 繊維学部, 教授 (00092867)
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研究分担者 |
高寺 政行 信州大学, 繊維学部, 教授 (10163221)
森川 英明 信州大学, 繊維学部, 准教授 (10230103)
池田 和子 文化女子大学, 服装学部, 教授 (40202882)
梶原 莞爾 大妻女子大学, 家政学部, 教授 (10133133)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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キーワード | シルク-アパレル / リバースエンジニアリング / ラグジュアリブランド / ファッション / 織物組織 / 無形資産評価 / デザイン / フィージビリティスタディ |
研究概要 |
本邦で設計される高級既製服(≒東京プレタポルテ)としてのシルクアパレル(≒シルク素材の高級既製服および洋品)が、ラグジュアリブランドをベンチマークとし、パリ・ミラノそしてニューヨーク(以下現地)で売れるかどうかのフィージビリティを技術的・経営的に研究することにあった。シルクアパレル不振は「技術はあるがブランドがない」に原因があるという。そこで技術的側面を検討すべく、ラグジュアリブランドのシルクアパレルのリバースエンジニアリングを試みた。パリのシャネル、ミラノのアルマーニ・プラダのシルクアパレルを試料として購入し、各サンプルの材料やデザイン・縫製を検討し、このうち、アルマーニの製品X(約35万円のスーツ)を再現するプロジェクトを設定した。その生地の糸の構造、生地の織物組織および染色、さらに製品の生産工程を推定し、当該試料と「おなじもの」をプロトタイプとして国内で生産したところ、該当糸は国産で存在せず中国糸を採用、製織・染色ではかろうじて要求仕様を達成し、縫製では彼我の規格差を認識しながら、結果として近似の製品を完成させたが、技術優位の状況とはいいがたいと判断した。 また、経営面では、素材側の定番在庫の維持および過去のデザインのストック、ラグジュアリブランド側デザイナーへの提案、過密な商品開発スケジュール(2年近いスループットと最低半年というサイクルタイム)、現地路面店での接客や現地業者間取引に必要な営業力、グローバルな市場細分化と標的市場の選択、多店舗運営、衣料以外の事業構成によるリスク回避、主力デザイナーの厳格な実績評価、CRMの活用など、一連の基礎の上にブランド(無形資産)の売買があり、そこには透徹した確率的計算を垣間見ることができる。日本の市場が恵まれすぎ、グローバルに通用するファッションビジネスは無用であったため、シルクアパレル事業のフィージビリティを推定できず、所要の事業資金の集まりようがないという結論を得た。
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