研究概要 |
A.室内環境に関するカビ生態研究:室内環境のカビの生態に関する調査研究を継続実施した。特定の室内環境の空中カビを分離培養して落下法:10分開放式浮遊法:100Lサンプラー吸入式による成績を比較検討した。カビは細菌と異なり両者間での相関性が認められる傾向がみられた。 B.室内環境でのカビ分布の特異性研究:主要な種類であるCladosporium, Penicillium, Fusarium, Alternariaの分布特異性を検討した。特に環境状態(湿度・温度・水分)から検証し、カビの有す生理学的性質と環境変化が複雑な分布特異性を示す成果が得られた。 C.室内空気中のカビに関する生物学的特性研究:分離カビの生理学的特性を検証した。この研究はB.カビ分布特異性と関連性があり、併せて検討した。対象とした標準カビ:Alternaria alternata, Trichoderma viride, Rhizopus stolonifer, R.. oryzae, Wallemia sebi, Aspergillus fumigatus, A.. versicolor, A.. niger, A. ochraceus, Eurotium Chevalieri, E. amstelodamiについて、温度:4-36C、湿度:70-99%、養分要求性:糖濃度(0〜40%)、無機質:Na,K,Ca,Fe,Mg,N,Mn,C,SO_4,CO_3,NO_3、酸素要求性:酸素濃度0.001-20.0%で実施し、温湿度と酸素要求性で生理性状を異にする傾向がみられた。また無機質、養分要求性では、カビの多くが微量物質を要求しているものといえた。 D.カビによる室内環境と健環境被害に関する研究:近年の住構造様式や気象環境差による生息カビの変化がもたらす室内環境構造,室内気象環境差による健康および環境影響について調査研究した。環境からカビを簡便かつ迅速に検出する目的で、抗原検出法やPCR法などの臨床用キットの応用、そのための検体の処理法を検討した。環境性カビの主要なGenusではプライマーの開発ができたが、さらに環境性カビの迅速検出のための手法が必要と考えられた。
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