卵の栄養評価として一般成分からはビタミンCを含有しないということを除いて栄養バランスがとれている食材であり、生化学的評価からも良質たんぱく質である。しかし、卵はコレステロール値上昇や食物アレルギーの生理的課題が挙げられている。栄養的評価が高いにも関わらず、このような生理的問題が見られることから、栄養的評価が高い特性を活かした生理的課題を解決した卵の機能性を模索することを研究の目的とした。アレルギーの抗原成分であるオボムコイドを異なる産卵鶏種の卵白から分取したオボムイコイドのアミノ酸組成から比較した結果、違いがみられた。平成19年度はオボムコイドのアミノ酸組成の違いがアレルギー強度に及ぼす影響について検討を行う。また、産卵鶏種が異なる卵において卵白及び卵黄の粘度に違いがみられ、この違いは構成卵白たんぱく質の比率や卵黄の構成たんぱく質や卵黄球の構造の違いに由来することを明らかにした。また、熱凝固性に及ぼす成分であるカルシウム含量を産卵鶏種が異なる卵の卵白及び卵黄を原子吸光から調べた。産卵鶏種が異なる卵における構成たんぱく質・カルシウムの違いや構造などが卵の熱凝固性や起泡性に及ぼす影響をゆで卵やスポンジケーキの物性をクリープメーターから、構造を画像処理により解析した結果、産卵鶏種が卵の調理加工性に影響を及ぼしていた。これより、産卵鶏種が異なる卵の成分・物性・構造を明らかにし、その特性を活かした調理加工特性を提案することができた。また、卵黄の微量成分であり、コレステロール抑制作用があると報告されているコリン含量は産卵鶏種が異なる卵の卵黄間に違いが見られた。平成19年度は産卵鶏種が異なる卵を摂取したときのコレステロール値に及ぼす影響について実施する。非水溶性食物繊維を餌に添加したときの卵の物性や調理加工特性に及ぼす影響については現在、進行中である。
|