平成15年度に、食物アレルギーの患者団体を対象に実施した、「食物アレルギー発症回避のためのアンケート結果」の結果、現在、食品衛生法に基づくアレルギー表示が義務化されていないファーストフード店等での店頭販売品により、食物アレルギー症状が誘発されている実態が明らかになった。このことから、食物アレルギー患者が、食物アレルギーによる種々の誘発症状を予防・回避するために必要な情報である「ファーストフード店」や「コンビニエンスストアー」などの「店頭販売品」中に含まれる特定原材料の含有量と測定すると共に、情報提供の有無や内容の実態を調査した。 今回の調査では、コンビニエンスストアー(6社20商品)、ファーストフード店(6社29商品)、丼物屋(1社3商品)、持ち帰りパン屋(2社5商品)、持ち帰り寿司店(2社11商品)、和菓子店(3社13商品)の20社81商品中に含まれる特定原材料(卵・牛乳・小麦・そば・落花生)の含有量を測定した。 その結果、81商品中27商品で10μg/g以上の濃度で特定原材料が検出された。もちや最中、冷菓以外の商品では、数μg/g以上の濃度で検出された。情報提供は、ファーストフード店、丼物屋、和菓子店は全社、コンビニは6社中2社が行っていたが、持ち帰りパン屋や持ち帰り寿司店では提供していないなど、業務形態により差が見られた。10μg/g以上の特定原材料が検出された商品の内9商品で情報提供が無いなど一部情報の漏れや、過剰な情報も見られたが、情報が誤りと思われた企業に連絡したところ、直ちに修正された。患者が安全に食品を選択できるよう、現在表示義務のない「店頭販売品」についても、精度の高い情報提供が望まれる。 今後、これらの企業における原材料の確認作業の実態や、平成15年度のアンケート調査結果を用いた特定原材料の組合せ、インターネットを用いた食物アレルギーの課題に関する調査を行う予定である。
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