これまでに野菜摂取の抗動脈硬化作用として、抗高ホモシステイン血症および抗酸化効果が明らかにされているが、食後糖脂質代謝動態改善作用についての報告は極めて少ない。そこで、若年成人ボランティアを対象に、食事負荷試験を行い、野菜摂取の食後糖脂質代謝動態への影響を検討した。 方法:研究は日本女子大学ヒトを対象とした実験研究に関する倫理審査委員会の承認の後、対象者に文書によるインフォームドコンセントを得て行った。負荷試験は、空腹時採血ののち、負荷食(食パン170g(B食)、食パン170g+バター25g(BB食)、食パン170g+バター25g+ほうれん草100g(BBS食))を摂取してもらい、摂取30、60、120、180、240分後に採血を行った。負荷試験は最低1週間をあけて実施した。 結果:糖脂質代謝異常がなく非肥満である正常群14名では、B食に比べてBB食では食後30、60、240分後の血糖値が低値傾向で(p<0.1)、TG濃度は食後各時で増加した(p<0.001〜0.05)。BBS食ではB食に比べて食後30分後の血糖値が低値(p<0.05)、BB食に比べて食後180分後のインスリン濃度が高値傾向(p=0.07)であった。試験参加時に肥満(8MI≧25もしくは臍周囲径85cm以上)を呈した肥満群6名では、B食に比べてBB食では食後30、60分後の血糖値の平均値が低値を示したが標準偏差が大きく差は有意ではなく、TG濃度は食後各時で増加傾向だった。BBS食ではB食、BB食に比べて食後30分後の血糖値が低く、食後30分後のインスリン濃度が高値傾向(p=0.1)であった。 結語:バター付加により食後高血糖は抑制される可能性があるが、脂質代謝異常を起こす危険性があることが確認された。また、ほうれん草の同時摂取により食後糖代謝がバター摂取時よりもさらに抑制される可能性が示唆された。
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