研究概要 |
1.グリーンケミストリー教材の開発 現行の中等化学教育において教材として取り上げられている化学反応を反応素材としてグリーンケミストリー教材の開発を行った。大気汚染および酸性雨に関する演示実験として二酸化窒素の噴水実験を開発し,授業実践に向けて実験方法の詳細を検討するとともに,学習資料の作成を行った。また,インジゴ染色実験に用いられるイオウ系還元剤を還元糖により代替するグリーンケミストリー実験の開発に取り組み,超音波を利用することにより還元糖を用いたインジゴ染色実験が可能であることを明らかにした。さらに,検液のデジタル画像のスペクトル変換解析を応用した水質分析の教材的手法を開発した。 2.グリーンケミストリー教育導入のための中等化学教育課程の検討 文献調査,国内外における化学教育及びグリーンケミストリーの専門家との情報交換を通して,国内外における中等化学教育におけるグリーンケミストリー教育の動向について調査を行った。また,大学におけるグリーンケミストリー教育についてのアメリカ化学会における事例を調査し,教材内容の再検討により中等化学教育の教材として利用可能な素材の検索を行った。さらに,現行の中等化学教育課程の発展的学習としてグリーンケミストリー教育を導入するためにグリーンケミストリーをコンテキストとした教材構成の可能性について検討した。これらの調査・検討の結果を基にして,教材開発および教育実践的研究の指針を決定した。 3.関連教科におけるエネルギー・環境教育教材の開発 物理分野においては,電磁環境教育に関連して電磁波の性質とフェライトによる電磁波の吸収に関する実験教材を検討した。また,生物分野においては,光合成に関連して汎用デジタル機器により撮影したデジタル画像をもとにして葉緑素の可視吸収スペクトルと蛍光スペクトルをシミュレーションする実験教材を開発した。
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