研究概要 |
1"不確実性"概念に対する新しい概念的定義の提案 "複雑性と不完全性"概念の視点から,不確実性概念をこれまでの確率論に基づく決定論的-非決定論的認識から幅を広げて追究し,確実性事象(決定論的事象:単純性・完全性と切断性)と不確実性事象(非決定論的事象:代表性・規則性と集団性)を対比させ,"変動と予測"を中核概念にして,"ちらばり"(個体間変動・要因間変動:分散)と"ゆらぎ"(個体内変動・要因内変動)で抑え,"規則的(傾向)-不規則的変化"と"安定的-非安定的変化"で抑え,新しい量的認識(代表値,分散等による代表性・傾向性把握)と質的認識(個別的実態的分析による個別性・多様性把握)で追及する新しい統計的方法論を提案。 2"知の創造社会"に向けた新しい児童生徒の統計的認識の構造的および発達的解明 児童生徒の不確実性事象の認識方法を再整理し,(1)「確実性-不確実性現象」に対する認識方法〔(1)確実性に対する基盤的な(2)不確実性認識方法,(3)安定的と(4)非安定的な不確実性現象に対する認識方法(個別性・多様性理解)〕と(2)「正解のない世界-正解のある世界」に広がる統計的認識方法の発達に関する調査(調査項目数40,調査対象:小学校4年・6年生と中学校2年生)を行ったが,不確実性認識(変動と予測)の数量的な傾向把握ができても,意味を伴う解釈・判断は小・中学生とも理解は半減。 3"知の創造社会"に向けた新しい統計的探究能力を育てるe-Stat統計教育学習コンテンツ開発と実践的利用 新しい視点に立つ統計教育カリキュラムのウェブ・ラーニングを完成させ,鳴門教育大学から公開利用を展開。(1)小学生向け(1から6学年),(2)高校生向け(6章構成),(3)教師向け(統計教育の授業研究,実践授業例,グラフコンクールの3章構成),(4)教師向け"不確実性"を中核にした新しい統計教育,(5)教師・研究者・市民の統計教育研究講座(11研究論文)。
|