研究概要 |
本研究は,国際・地域開発に従事している日本人専門家・教育者の実務体験を分析しケース作成を通じ,指導要領を含めて教材化し,開発分野における材育成に資することを目的としている.初年度は各研究者のケース作成のための現地調査・情報収集を中心に研究活動を実施した. 研究代表者(山口):モンゴルのインフラ整備の整っていない村校での教員のモチベーションレベルが高い点に注目.インフラの整わない僻地の学校において教育開発プロジェクトを促進する際のSustainabilityに関する要因について分析するケースを執筆すべく,2度における現地校への訪問、地方政府、学校長、教員、親から聞き取り調査を行なった.2本目のケースであるラオスの世界文化遺産保護と開発のバランスについての調査を開始。 川辺:小型捕鯨であるイルカ漁に関してケース教材を執筆し,東京海洋大学大学院授業「沿岸域環境論」・学部授業「海洋政策文化研究法」で実践した.本ケースは,静岡県伊東市富戸のイルカ漁を行う漁業者に対し欧米系NGOがこれを阻止しようとしたキャンペーンを題材とする.内容を補完するため,日本の残存する捕鯨基地・和歌山県太地町に調査に赴き,小型捕鯨者組織「勇魚組」の方々にグループ・インタビューをおこなった.また,北海道漁業者のエンパワーメントに関して執筆したケースを英文化した. 樋口:タイ国コンケン県において地域住民を対象に伝統医療行動に関する調査を実施し,ケースとしてまとめ,静岡県立大学大学院国際地域看護領域のゼミ教材として,また,複数の他大学の国際保健論および国際看護論の講義の教材として活用した.さらに,スリランカ国の地域保健・開発分野で活動する国際協力機構のフィールドコーディネータ及び現地NGO「Navejeevana」と「P.E.A.C.E」を対象にプロジェクトの経験に関してインタビューを行った.現在,データを分析するとともに授業評価をもとにケース教材の改善を行っている. 阿古:中国・北京にて出稼ぎ労働者コミュニティーの調査を行い,現地NGO『出稼ぎ女性の家』及び『農家女学校』のスタッフとケース執筆に関する打ち合わせを行った.なかでも農村女性のエンパワメントに関するプロジェクトのケース執筆に関する資料収集を依頼した『農家女学校』の羅校長とは集中的に議論を重ねた.また,湖北省においても農業灌漑及び老人福祉に関する調査を進め,その内容の一部を研究会やシンポジウムで発表した.
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