研究概要 |
本研究は,国際・地域開発に従事している日本人専門家・教育者の実務体験を分析しケース作成を通じ,指導要領を含めて教材化し,開発分野における材育成に資することを目的としている。最終年度は各研究者作成のケースの問題分析を実施した.また、ケースの読み合わせ、推敲も行った。 山口:インフラ整備の整っていないモンゴルで教育開発プロジェクトを促進する際のSustainabilityに関する要因について分析するケースを執筆し、現地にて意見を収集し、修正した。また、ラオスの世界文化遺産保護と開発のバランスについての執筆を行い、現地での聞き取り調査を経て修正。協力執筆者への教育開発分野における執筆を依頼。(神戸大学大学院教授、UNDP専門家)。 川辺:参加型資源管理のためのキャパシティビルディングへの適用へと発展させるために、北海道・厚岸町の砂防ダム建設問題(4月、5月〜6月)、マレーシア漁民の資源管理に向けたエンパワーメント過程(12月)についてデータ収集をおこない、世界水産学会議及び、漁業経済研究に論文を発表した。また、稲本守氏(東京海洋大学・教授)にイルカ保護とマグロ漁をめぐる国際問題についてのケース執筆を依頼し、修正した。 樋口:ケースの教材としての精度を高めるために、(1)東京工業大学大学院の授業(6月)及び(2)FASID(国際開発高等教育機構)のケースメソッドセミナー(8月)においてケースを使用し、参加者からのフィードバックを得て改善した。ケースメソッド教授法における質的研究方法活用の有効性を探るために「International Qualitative Health Research」で論文を発表した。村山智子氏(グルーバルリンク)に感染症対策をめぐる国際協力の主体性について、池田憲昭氏(国立国際医療センター)に専門職の介入と住民参加の課題についてケース執筆を依頼し、修正した。 阿古:9月に中国・甘粛省のエイズ予防・啓発プロジェクトにおいてJICA専門家の福原毅文氏が執筆した2つのケースについて討論を行った他、11月には中国のエイズ問題シンポジウム・ワークショップを開催、及びその活動の一環で早稲田大学・学習院女子大学の学生たちと共にPeer educationプログラムを実施した。また、中国語版のケースブックを出版するために、執筆済みのケース6本を中国語に翻訳し、華中科技大学の賀雪峰教授らとその内容について議論を行った。
|