専門職としての教師に求められる力量は、児童生徒とのコミュニケーション過程としての授業運営において、予測できない変化に対応し瞬時に働く暗黙知が重要であることが判明している。暗黙知の形成については不明なところが多いが、これまでの研究でメンタリング機能が重要であることが指摘されている。本研究では、メンタリング機能を組み込んだ教員研修システムを開発するために、(1)メンタリング機能のモデル化、(2)e-learningによるメンタリング機能の開発、(3)e-learningによる研修の実施により教師の実践的力量の向上に寄与することを目的とする。 本年度はこれまでに開発した「教育方法」の授業素材を、教員研修用に編集し、教材化し、DVDとして自己研修に使用できる形に編集した。メンタリング機能を組み込んだ研修用のE-learning教材に構成するために、授業映像は、授業者と受講生との対話形式にくみ上げた。研修内容は、授業の設計、学習の組織、教授技術、子どもの把握、授業メディアの活用、専門職としての教師で30時間相当の教材とした。研究の一部は、European Conference of Educational Research (2008)にて「Development of pre-service teacher education unit using structured card method」として発表し評価され、成果はECERのデータベースに収録された。また、「Trend of Open and Distance Learning Course at Japanese Universities.」(Proceedings of ICoMe2008)を発表した。学習者は、本教材での対話形式を通して、各自の課題を意識化すると共に、各内容ごとに自己の経験を元に課題を行い、本システムを用いて遠隔教育により学習し、その効果を実証した。
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