研究概要 |
昨年までにプロトタイプを開発しながら機能の詳細を設計してきたティーチングポートフォリオシステムを汎用的に使用可能な本格的なシステムとして再構築する.また,これまでのプロトタイプシステムを活用して蓄積されたポートフォリオの内容をテキストマイニングの手法によって分析することが,本年度の計画であった. (1)システム開発 ASP.NET環境のもとで稼動するシステムとしてティーチングポートフォリオシステムを再構築した.主な開発項目は,INTASCスタンダードをはじめ,各種のスタンダードに対応できる階層的スタンダードエディタである.これにより,より柔軟で汎用性のあるポートフォリオシステムの核が完成した.このシステムを評価するため,次に挙げるスタンダードの実装を試みたところ,本システムで表現可能で,実際に運用可能であることが示された.対象としたスタンダードは,INTASC,横浜スタンダード,奈良教育大学教職大学院スタンダード,長野市教育委員会スタンダード,現在検討中の信州大学教育学部教職実践演習スタンダード(案).また,授業記録などマルチメディアで表現するエビデンスの蓄積・管理システムを構築した. (2)テキストマイニングによるポートフォリオの分析 これまでに蓄積した教育学部1年次生を対象とした教育臨床科目ポートフォリオの分析では,児童・生徒の非言語でのコミュニケーションに注目している学生の姿など,学生から先生の立場への自覚が見られることが明らかになった.また,学生同士の相互評価の文章の分析結果には,自分の専門性を振り返るクラスターが見られ,ポートフォリオとしての効果が示されていると評価できる. また,組織としてのポートフォリオとしての教育委員会Webサイトから発信された情報のテキストマイニングによる分析方法は,発信された情報を分類し,その意義を考えるための情報提供のためのツールとして役立つことが示された.
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