研究概要 |
最終年度として,これまでに開発したシステムを改善し,デジタルティーチングポートフォリオシステムを完成させること,また,その効果的な使い方を提言することを目的として,本年度の研究をスタートした。 これまでのパイロット的な研究開発と試行によって得られた知見を基礎に,総合的なポートフォリオシステムを構築できるように,改めて基本設計から見直し,画面設計書,詳細機能説明書として,ティーチングポートフォリオシステムの開発に必要な仕様を完成させた。その特徴は,(1)指導者が課題を受講者に対して提示する機能によって,ポートフォリオ活動を促進するようにしたこと,(2)スタンダードを核にして,蓄積したエビデンスを構造化し,自己評価,相互評価を可能としたこと,(3)エビデンスを表現するエディタを強化して表現の自由度を高め,個性的なページを作成できるようにしたこと,(4)指導者にとって必要となる各種統計データ処理と基礎データのエクスポートを可能としたなどである。 本研究で明らかにされた設計書に基づき,教員の質を保証するために必要となる教職実践演習用の本格的な実用システムとしてのプログラム開発が,本研究の終了後に,教育学部としてスタートするなど,本研究の成果が有効に活用され始めている。 また,これまでに開発したポートフォリオシステムを実際の指導で利用して蓄積されたデータをテキストマイニングの手法で分析することにより,教育実習生のリフレクションの特徴として,教科における差異が明らかにされ,その結果,教育実習の各段階(教員養成初期,観察実習期,教壇実習期,研究授業,異校種実習など)に応じた指導の重点を設定したカリキュラムの必要性が示唆された。
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