本研究では、聴覚障害者の学習を効果的に実施するために、手話などによる説明と、対象物に対する視覚による理解の両方を支援するために、教師の指示(Cue)と学習者の注視点(Focus)を共存させる「みながら学習」インタフェースを開発し、その効果を実証することを目的として研究を行っている。具体的には、教師の指示を動的に表現できるアクティブ指示装置(WAND)を開発し、有効性の検証を行ってきた。 平成20年度は、2回の予備実験の結果を検討しBFWシステムインタフェースを改良した。その後、室内の講義での実施に対応できるかどうか本実験を行った。具体的には連携研究者の生田目教授の勤務先である筑波技術大学の学生の皆さんに実験に参加してもらい、インタフェースや美術の学習に関してアンケートによる評価を得た。また最終年度にむけ、研究の成果を学会の研究会で発表し、各分野の専門家から多くの意見が出された。国際会議では、Asia Modeling Symposium(AMS2008)での発表、国内では、人工知能学会、ヒューマンインタフェースシンポジウムや教育情報システム学会などで発表した。 今後の課題としては、(1)一般向けの授業でも使用して効果の検証を行い、よい広範囲ユーザへの応用ができるかどうか実証すべきである、(2)メディアアートの作品表示に使用できないか、であり、新しい方向性を示唆され研究の今後に大変参考になった。来年度はハードウエアの改良とともに、一般学習向けの実験も併せて行い、有効性を検証していく予定である。
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