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2007 年度 実績報告書

「灰吹法」の実証的検証に基づくわが国における金・銀の製錬技術の技術史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18300303
研究機関独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所

研究代表者

村上 隆  独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 上席研究員 (00192774)

研究分担者 高田 潤  岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (60093259)
キーワード灰吹法 / 精錬技術 / 材料科学 / 機器分析 / 出土遺物 / 金 / 銀 / 銅
研究概要

わが国における約2500年の金属利用の歴史の中で、特に金・銀に注目し、その純度を高める精錬技術の技術移転と定着、さらには技術発展に関して実証的な検証を行うことが、本研究の目的である。わが国における鉱石の採鉱から金属の製・精錬に至る技術の歴史の解明は、日本の技術史上たいへん重要である。しかし、従来の研究は文献史料調査に基づくため、文献史料自体の存在が希薄である古代の実状は詳らかでない。本研究は、最近の考古学的発掘によって新たに出土した実資料に対する科学的調査の成果に基づき、古代からの技術の変遷を実証的に検証する手法をとることを大きな特徴とする。金・銀の純度を上げる灰吹法の原形と呼べる方法が、7世紀後半にまで遡ることを、本研究における昨年度の成果として報告した。今年度は、この技術が、15世紀後半から16世紀前半に行われていたことを、山梨県甲斐金山遺跡からの出土遺物の調査によって確認した。これらの調査成果に基づき、日本における鉛を用いた金銀を精錬する技術には、(1)古代タイプと(2)近世タイプの二通りの系譜がある可能性を示唆することができた。また、(2)近世タイプにも時代による変遷があり、骨灰を詰めた鉄鍋炉から、地面を掘り下げた地床炉を用いるようになることが、石見銀山遺跡の発掘に伴う科学調査によって明らかににすることかできた。これまで1533(天文2)年に日本で初めて導入されたとする灰吹法の原形がすでに古代から行われており、さらに灰吹法に用いる炉の形態にも歴史的変遷があることが実証されたことは、日本の科学技術史を書き換える重要な知見となると考えられる。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2007

すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (2件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 石見銀山遺跡から出土したユリカスの粒度特性2007

    • 著者名/発表者名
      横山精士、村上 隆、高田潤, 他
    • 雑誌名

      粉体粉末冶金協会講演概要集 平成19年度秋季大会

      ページ: 135

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] 近世の金精練技術、「灰吹法」に関する材料科学的検証2007

    • 著者名/発表者名
      村上 隆、横山精士、高田潤, 他
    • 雑誌名

      日本文化財科学会 第24回大会研究発表要旨集

      ページ: 42-43

  • [雑誌論文] 古代の金・銀精錬を考える-飛鳥池遺跡の事例を中心に-2007

    • 著者名/発表者名
      村上 隆
    • 雑誌名

      奈良文化財研究所紀要2007

      ページ: 30-31

  • [学会発表] 石見銀山遺跡から出土したユリカスの粒度特性2007

    • 著者名/発表者名
      横山精士、村上 隆、高田潤, 他
    • 学会等名
      粉体粉末冶金協会
    • 発表場所
      京都工芸繊維大学
    • 年月日
      2007-11-19
    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [学会発表] 近世の金精練技術、「灰吹法」に関する材料科学的検証2007

    • 著者名/発表者名
      村上 隆
    • 学会等名
      日本文化財科学会
    • 発表場所
      奈良教育大学
    • 年月日
      2007-06-02
  • [図書] 金・銀・銅の日本史2007

    • 著者名/発表者名
      村上 隆
    • 総ページ数
      219
    • 出版者
      岩波書店
    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [図書] 別冊太陽 石見銀山(監修 : 田中 琢)2007

    • 著者名/発表者名
      村上 隆, 他
    • 総ページ数
      50-57
    • 出版者
      平凡社

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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