| 研究概要 |
平成19年度は、まず平成18年度に行われた音波探査実験結果に基づいて、パルス圧縮による分解能改善に関する報告を関連学会にて行った(文化財探査学会、日本音響学会、アコースティックイメージング(AI)、国際音響学会(ICA))。超磁歪振動子によるパルス圧縮の効果をさらに確かめるために、8月2日-9日にかけて、茨城県日立市神田町にある休耕地にて音波伝播実験を行った。実験に先立ち、5月の連休中に探査対象として小型のプラスチック容器を深さ50cm程度に埋設した。実験時には、ダウンチャープ波(ストップ周波数300Hz、送振時間100ms)のスタート周波数を500-1kHzの間で変化させて、シミュレーションによる検討どおりの分解能が発揮できるかどうか比較した。また、従来用いていたハンマー法による映像と比較するために通常のバースト波(200Hz,10波)の送振も行った。受振はセンサーであるジオホン12個と弾性波探査装置(McSEIS-SX)を用いて行った。各送振波形は超磁歪振動子をなめらかに駆動するために窓関数(k-flat関数)をかけた波形を採用した。実験後、計算機上で反射散乱波重合法を用いて映像分解能の比較検討を行った。比較検討結果から以下のことが明らかになった。
1.スタート周波数が700Hz以上あれば、軸方向分解能20cm以下を実現できること。
2.スタート周波数が700Hz以下であっても、従来の手打ちハンマー法による分解能約50cmよりも高い分解能を維持できること。
3.さらに、ダイナミックフォーカス法を使用すれば、方位方向分解能も20cm以下を実現できる可能性があること。
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