研究課題/領域番号 |
18300310
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研究機関 | 奈良県立橿原考古学研究所 |
研究代表者 |
木下 亘 奈良県立橿原考古学研究所, 調査研究部, 研究員 (40250378)
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研究分担者 |
卜部 行弘 奈良県立橿原考古学研究所, 附属博物館, 総括学芸員 (70260370)
清水 昭博 奈良県立橿原考古学研究所, 調査第1課, 主任研究員 (20250384)
鈴木 裕明 奈良県立橿原考古学研究所, 調査第2課, 主任研究員 (90260372)
宮下 佐江子 (財)古代オリエント博物館, 研究部, 研究員 (80132760)
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キーワード | 新羅王陵 / 十二支像 / レーザー3次元計測技術 / 石像彫刻 / 慶州市 / 統一新羅 |
研究概要 |
今年度は当初の予定通り、韓国慶州市周辺に分布する新羅王陵(掛陵・聖徳王陵・九政洞方形墳・興徳王陵・景徳王陵・金庚信墓・眞徳王陵・憲徳王陵)に所在する、十二支レリーフのレーザー3次元計測を国立慶州文化財研究所の協力を得て実施した。十二支レリーフは墳丘のそれと共に、それぞれの彫刻に就いて熟観調査を実施し、略測によるメモ図面の作成及び詳細な部分写真撮影を実施した。これによって風化作用の進行によって、レーザー計測では認識されにくくなってしまっている細部表現を中心に検討を重ね、大部分については復原的な図化を行うことが出来た。また、各古墳から現在は博物館に移動している石像も幾つか認められる。博物館資料としては国立中央博物館に聖徳王陵の十二支(申)及び金庚信墓出土の滑石製十二支像、壇国大学校博物館に滑石製十二支像(1点)、国立慶州博物館に九政洞方形墳の隅石、金庚信墓出土滑石製十二支像(3点)等が所蔵されているが、これらの内の幾つかに関して、同様のレーザー計測作業を行った。これらについては各所蔵博物館に於いて測図を行ったが、地元慶州市以外の機関にも分散所蔵されているため、今後継続的に計測を行う予定である。 実測後、直ぐにデータの解析に当たり、1mmコンタ図、立体画像図、コンタ図と立体画像図の合成図面等を作成した。また、現地での観察結果も踏まえ、これらの図面を基に実測図を起こした。これら同一スケールによる図面の完成によって各古墳の彫像、レリーフ等の比較が極めて容易くなった。特に十二支が身につける衣装、持ち物等の細部比較等美術史的検討を行う上では極めて有効な手段であることが改めて認識された。考古学的にも各レリーフの断面図が意図する箇所で簡単に作成できる利点があり、制作面から見たレリーフの時期的変遷をより視覚的に表すことが可能となった。
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