研究課題/領域番号 |
18300312
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
近藤 昭彦 千葉大学, 環境リモートセンシング研究センター, 教授 (30201495)
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研究分担者 |
唐 常源 千葉大学, 園芸学部, 教授 (80251198)
佐倉 保夫 千葉大学, 理学部, 教授 (70153947)
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キーワード | 比較水文学 / 地域研究 / 中国 / 水収支 / 水質・同位体 / 地下水 / 気候変動 / 人間活動 |
研究概要 |
本研究の主要研究対象地域である中国においては、新彊(乾燥地域)、華北(半乾燥地域)、華南(湿潤地域)における調査を実施した。 1)新彊:(1)新彊全域を対象として、近年の湿潤化傾向を湖の面積変化および河川流量の変化から説明し、近年の水資源量の変動を自然要因と人間要因の両側面から検討を行った(デリヌル・近藤,2006)。最近の10年ほどは水資源量が増えており、新彊の経済にとって好都合であるように見えるが、持続可能ではない水利用が行われている。(2)それが地下水であるが、トルファン盆地を対象として、水文調査を実施し、水循環のメカニズムについて検討を行った(カイサレほか、投稿中)。 2)華北:(1)北京の載る扇状地を対象に地下水調査を実施し、水循環の実態を水質・同位体組成から検討を行った(カイサレ、李ほか、投稿中)。(2)北京・天津地区の水不足を補うために中国政府は南水北調プロジェクトを開始したが、水路の完成前の地下水の実態を明らかにするためにルートに沿って地下水調査を行い、水質分布を明らかにした(李ほか、投稿中)。 3)華南:珠江デルタを対象として、河川調査および地下水調査を実施した。(1)東江(珠江を構成する主要河川の一つ)の流路に沿って河川水質・地下水水質の採水・分析を行い、流域スケールの水循環の実態に関する検討を行った。また、(2)広州の郊外の一地区を対象として水利用と水汚染の実態調査を行った。この結果は「水の豊富な地域における水不足問題」という新たな問題の実態解明に繋がった(魯ほか、投稿中)。 比較水文学的研究では地域の水問題の実態を明らかにし、その結果を知識ベースとして積み上げる必要がある。ヨルダンの死海地下水盆を対象とした研究では、人間の水利用による死海の水位低下が、周辺地下水盆における貴重な淡水資源の喪失に繋がっていることを示した(アハマドほか、2006)。
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