研究概要 |
将来の大地震の発生確率が高い、要注意の長大な活断層帯を主な研究・調査の対象断層として、各種の詳細な調査を実施した。 山崎断層帯は近畿地方の西部を西北西-東南東方向へ約80kmにわたって延びる活断層であり、近年トレンチ調査も行われてきたが、その中央部を占める土万(ひじま)断層や暮坂峠断層は活動履歴や活動性に関する詳細な資料が得られていなかった。そこで、これらについてトレンチ掘削調査や露頭調査を行い,活動性を究明した.また、周辺活断層との関連や近畿西部における活構造上の意義について,加藤ほか(2008)として論文を第四紀研究に公表した。 境峠-神谷断層帯の詳細位置は岡田ほか(2007)の活断層図「木曽駒高原」で明らかにされたが、その中南部と南部でトレンチ掘削調査を行い、活動履歴を究明した。成果の1部は杉戸ほか(2008)で論文として公表した。最新活動時期は800〜1520 cal BP、この1回前の活動時期(3840〜4860 cal BP)と求められ、この活動時期は新私見である。1回前の活動は従来の資料よりも時代的に限定された。 1891年濃尾地震は日本の内陸で発生した歴史上で最大地震(M8.0)であり、その時に活動した根尾谷断層は最大級の変位量(左横ずれ7-8m,上下6m)を示したが、変位量分布はある程度判明している、根尾谷断層沿いに発達する河成段丘面と堆積物を詳しく調べ、形成年代を求め、第四紀後期における変位の累積過程を解明し、成果をKaneda&Okada(2008)で公表した。 中央構造線活断層帯は日本列島最長の活断層であり、活動性も高い。しかし、四国域での最新活動時期は約400年前頃であり、1596年慶長伏見地震に関連した活動と推定されるようになった。一方、和泉山脈南縁部における中央構造線活断層帯はこの時には活動しておらず、活動履歴の詳しい調査が注目されていた。そこで、和歌山県紀の川市枇杷谷においてトレンチ掘削調査を実施し、24,000年以降に5回の活動とそれらの時期を明らかにした(岡田・越後,2008)。
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