東京都内における規模の異なる11箇所の公園緑地を対象に、緑地内部と隣接市街地に多数の自動記録式温度ロガーを設置し、長期間の連続観測データに基づいて、緑地の規模によるクールアイランド効果(緑地内と周辺市街地の温度差)を明らかにするとともに、緑地内冷気の周辺市街地への流出距離に関して客観的・定量的に評価することを目的として研究を実施した。対象とした公園緑地は、六義園、小石川植物園、小石川後楽園、皇居、芝公園、甘泉園公園、戸山公園、新宿御苑、明治神宮・代々木公園、有栖川宮記念公園、目黒自然教育園で、10分間隔で気温の自動観測を行った。 緑地のクールアイランド強度は、緑地内の平均気温と隣接する市街地に設置した気温観測値の差と定義づけた。緑地内の土地被覆は様々であるが、樹林、芝・草地、水面、裸地などの構成比率を求めて、クールアイランド強度との関係を重回帰分析等を用いて検討した。その結果、樹林面積や樹林率とクールアイランド強度との間に有意な相関のあることが明らかになった。また、緑地面積が20ヘクタール程度までは、両者の関係は直線的であるが、それ以上になると面積の違いによるクールアイランド強度の変化は小さいことが明らかになった。
|