研究課題/領域番号 |
18310002
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
長尾 誠也 北海道大学, 大学院地球環境科学研究院, 助教授 (20343014)
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研究分担者 |
山本 正伸 北海道大学, 大学院地球環境科学研究院, 助教授 (60332475)
入野 智久 北海道大学, 大学院地球環境科学研究院, 助手 (70332476)
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キーワード | 懸濁粒子 / 河川水 / 降雨 / 雪解け / 有機物 / 炭素同位体 / 放射性炭素 / 流量 |
研究概要 |
本研究の目的は、集中豪雨等により河川から沿岸域に大量に放出される懸濁粒子の沿岸生態系への影響を以下の観点より考察し、沿岸生態系保全のために資することにある。そのためには、河川懸濁粒子の量とその特徴を鉱物組成と栄養塩、有機物の観点より明らかにするとともに、放射性核種と安定同位体比をトレーサーとして活用し、河川水の懸濁粒子の起源を推定する。また、懸濁粒子の化学的な特徴を基に陸起源物質の沿岸域への移行挙動、水平的な広がりと堆積物への沈降過程を考察する。 平成18年度は、年間を通じての懸濁粒子の特性と移行挙動を明らかにするために、北海道の石狩川において、4月〜12月まで月1〜2回の観測を行い、雪解け、27mm程度の日雨量を含む年間の懸濁粒子の特徴と移行挙動を上流から下流にかけての6〜9測点で調査を行った。懸濁粒子量、化学成分、鉱物組成を測定し、連続遠心法により採取した一部の懸濁粒子試料については粒度の測定を行った。その結果、懸濁粒子量は平常時では10〜30mg/l、雪解け時期には最大で160mg/lまで増加した。懸濁粒子のAl濃度に対する元素濃度との関係をみると、河川水流量の増加時に両者の相関性が悪くなった。高流量時には平常時に比べてより大きな粒径の懸濁粒子の割合が増えることが原因と考えられる。 流域特性の違いが懸濁粒子の供給、移行に及ぼす影響を検討するために、沙流川及び天塩川での観測にも着手した。本研究では、粒子の無機成分、鉱物組成とともに、有機物の特徴やその動態解明も検討する。上記の3河川で採取した懸濁粒子の有機炭素含量、炭素同位体比の測定は平成19年度に行う予定である。また、今年度は沿岸域への懸濁粒子の移行動態を明らかにするためにセジメントトラップの整備を行った。平成19年度にはセジメントトラップを係留し、河川から沿岸海洋へ供給される粒子量の変動、その特徴について検討する予定である。
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