研究課題/領域番号 |
18310002
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
長尾 誠也 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 教授 (20343014)
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研究分担者 |
山本 正伸 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 准教授 (60332475)
入野 智久 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 助教 (70332476)
藤嶽 暢英 神戸大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (50243332)
荒巻 能史 国立環境研究所, 化学環境研究領域, 研究員 (00354994)
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キーワード | 河川 / 降雨 / 雪解け / 懸濁粒子 / 有機物 / 放射性炭素 / 炭素安定同位体 |
研究概要 |
懸濁態有機物は河川から海洋への有機炭素の移行量の40〜60%を占め、炭素循環のみならず、沿岸生態系の維持等に関係していることが明らかとなり、最近では、雪解けや降雨、特に集中豪雨時に移行する有機物の重要性が指摘されている。そのため本研究では、移行する有機物の特徴やその起源、移行挙動を明らかにすることを目的に調査研究を過去2年間進めてきた。 今年度は、河川流域と河川懸濁粒子との関係を検討するため、これまでの観測よりさらに上流に観測点(菊水橋)を設定し、石狩川において上流から下流までの観測を行った。石狩川上流の菊水橋、中流の納内橋と下流の岩見沢大橋においては2008年4月24日、6月11日、10月22日に水質の測定とともに河川水懸濁粒子を連続遠心法により採取し、有機炭素含有量、炭素安定同位対比、放射性炭素、リグニンフェノール組成を測定した。その結果、雪解け時期には懸濁態有機物のΔ^<14>C値は上流域から下流域に移動するに従い減少する傾向を示した。一方、平水時の6月と10月には中流域と下流域の測点での差が0〜7‰とほぼ一致する値であった。しかしながら、δ^<13>C値は上流域、中流域、下流域で異なる値であった。上流域の測点では、Δ^<14>C値は4月と6月にプラス、つまり核実験以降に生成された有機物の流入が考えられる。また、その変動幅は266‰と最大であった。3地点の懸濁態有機物のΔ^<14>C値の平均値は、上流域で+56.6‰、中流域で-106‰、下流域で-178‰であった。また、リグニンフェノール含有量も上流>中流>下流の順に減少することが明らかとなった。これらの結果は、それぞれの流域で河川へ供給される有機物の質は異なり、下流域では中流域と下流域との間でその流域から供給される有機物の特徴を反映していることが考えられる。
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